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大形サファイア結晶

大形サファイア結晶

サファイア結晶は、青色LED用GaN薄膜成長用下地基板結晶として、最近注目されている酸化物バルク結晶の1つです。 写真は、当研究室と不二越機械工業(株)で共同開発した、垂直ブリッジマン(VB)法育成の直径3-、4-inch、c軸成長サファイア単結晶インゴットです。

VB法による単結晶成長は、るつぼ内壁と種子結晶、原料融液あるいは成長結晶が接触した状態で、結晶成長が進行することから、るつぼと融液との間での高温熱化学反応性、物理的特性(界面自由エネルギ-、熱伝導率)との関係、さらにるつぼと種子結晶あるいは成長結晶との間の物理的特性(熱膨張係数、熱伝導率)、機械的特性(堅さ、延性・展性)との相互関係に十分な考察・検討が必要になる。
 この図は、サファイア結晶(c軸に平行、c軸に垂直)およびるつぼ材であるMo、Wそれぞれの線膨張係数の温度依存性を示す。当研究室では、これらの特性を考察することにより、るつぼ内で固化したサファイア単結晶が室温まで冷却する過程で、サファイア結晶とるつぼとの間に双方の収縮差による間隙(ギャップ)が発生し、室温においてはサファイア結晶は容易にるつぼから離脱するものと推測しました。結晶育成実験の結果、この推測が妥当であったことが検証でき、サファイア結晶とるつぼ双方に機械的なダメ-ジを与えることなく容易に結晶が取り出せ、かつるつぼを繰り返し使用できる、単結晶成長が可能であることを明らかにしました[1]。

[1]C.Miyagawa et al. , : Journal of Crystal Growth 372 (2013) 95-99

大形サファイア結晶(1)

VB法結晶成長では、全く見ることの出来ないるつぼの中で、充填した原料の全部と種子結晶の一部を融解し、種子付けを行う必要があります。この問題を克服するためには、正確な温度測定が重要です。一方、サファイア結晶の場合、2000℃以上の高温での温度測定に利用できる熱電対は、硬くて脆いW/Re熱電対のみであることから、その困難さが増大しています。  我々は、新規な温度測定素子を考案し[1]、温度測定・結晶育成に適用することで、この課題を解決することが出来ました。

[1]特開 2012-141161

大形サファイア結晶(2)

考案した温度測定素子を適用することで、高精度で温度測定が可能になり、再現性良い単結晶種子付け、単結晶育成が出来ます。

大形サファイア結晶(3)

この図は、CZ法結晶育成で多用されている種子付け後にネック形成成長をVB法に適用したサファイア単結晶育成プロセスと成長結晶を示します。全く観測が出来ないVB法結晶育成プロセスに、ネック形成により、種子付け時に発生した小傾角境界など、成長時に発生・伝搬する結晶欠陥の抑制・除去が可能になればVB法結晶育成技術は大きく進展します。

大形サファイア結晶(4)

VB法で育成した直径3-inch結晶の転位密度評価結果とX線トポグラフィ評価結果です。

大形サファイア結晶(5)

VB法で育成した直径3-inch結晶の典型的な転位密度分布を示します。

大形サファイア結晶(6)

経産省の支援を受けて、不二越機械工業、信州大学で共同開発した、直径4-、6-inch結晶育成が可能な、Stress-free Cooling  Vertical Bridgman(SFC-VB)法結晶育成装置と育成結晶(φ3-、φ4-、φ6-inch)および開発技術の特徴を示します。

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